今年も陶器市の季節になりました。
三川内山では、例年5月1日から5日までの期間、それぞれの窯元が陶器市の展示をしてお客様をお待ちします。
お客様は、「窯元めぐり」を楽しみながら、お気に入りや掘り出し物を見つけ、マイペースで歩いて行かれます。
五月の風に吹かれて、三川内の自然も満喫できる、ゆったりした(のんびりした?)感じの陶器市です。
私のうちでも、店の前に赤い毛氈を敷いた台を出して焼き物をならべていると、なんだかお祭りみたいなわくわくした雰囲気がしてきます。
実は、この三川内山の陶器市の名前は「はまぜん祭り」と言います。
よく、お客様から「はまぜんって何ですか?」と訊かれます。
「はまぜん」とは、焼き物を窯の中で焼く際に、焼き締まって縮まる時に歪みが出ないように、下に敷く丸いものです。
焼き物と同じ磁器の素材なのですが、焼いた後は捨てられてしまいます。
江戸の昔から、安い量産品の民間の窯では、はまぜんを使わずに、焼き物をじかに重ねて焼いたりしたそうですが、三川内焼は平戸のお殿様の御用窯だったので、ひとつひとつはまぜんを敷いて大切に焼かれたそうです。
その「はまぜん」に感謝する意味を込めて、春の陶器市を「はまぜん祭り」と言うのだそうです。
陶器市の期間、窯元めぐりのスタンプラリーがあります。
景品は特選三川内焼が当たるのですが、ハズレの方には、もれなく「はまぜん」がもらえます。お土産用のはまぜんには、各窯元が絵柄をつけて可愛く焼けています。
スプーンレストにしたり、ペーパーウェイトにしたりして使えます。
私も抽選受付をのぞいて、可愛いのをみつけました。
(どの窯元さんが絵をつけたのかしら?)
今年は雨が降ったりして、うちの大手毬花は少し散ってしまいましたが、気候も暑くなくて、散策にはちょうどいい感じです。
ふだんは静かな三川内の町が、たくさんのお客様に来て頂いてとても賑わいます。
「三川内やきもの語り」は
三川内皿山生まれの少女 釉子が語る
やきもの小説です