卵殻手に挑む

「らんかくで」と聞き慣れない磁器の技は、知る人ぞ知る「極薄手・磁器」の事です。
元来「技法名」であるため一般には、馴染みのない響きですが、江戸時代から日本では、三川内にのみ伝わる技法で100年もの長きの間、誰も手ロクロで再び作り出すことの出来なかったこの技は、まさに三川内焼の宝です。

卵殻手へと挑んだきっかけは、我が家に伝わる「江戸時代の卵殻手」を子どもの頃から知っていたからです。
ただ薄いだけの「お茶碗」との思いは、いつの間にか現代では誰も作り出すことの出来ない器として私に迫ってきました。

平成十五年から研究を進め、「手ロクロで造形する」「最も薄い所は1㎜を切る」「起こし焼きで焼成する」。
これらの「こだわり」は、江戸時代の作品に恥じない物を造る事でした。

素材の厳選、失われた技術の調査、焼成に隠された秘密、全て手探りの挑戦でした。
焼きあがった窯の扉を開けた時に手にした「卵殻手」は「これが本当に卵殻手か?」と先達の声がする思いでした。

平成21年皇太子に二度にわたって献上した時完成した思いが感じられました。

今、さらに進んだ卵殻手を試作中です。

 


製品情報

卵殻手

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古平戸

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